ヨーロッパ圏・アジア圏を中心に抱っこひもを製造・販売するラッキー工業。中でもウエストポーチのように腰に巻くだけで使える抱っこひも「ポルバンアドバンス」は、国内のママたちからも支持を得ています。このたびラッキー工業は、ママリのインスタライブを活用して販売促進を図り、想定以上の大反響となりました。この記事では、ライブの企画、出演を担当された田畑(たばた)さんに、ライブによる販売促進や消費者との交流についてお話を聞きました。
ライブを見て感じた「価値の認知促進」への影響力
ラッキー工業の主力商品である、ポルバンアドバンス。ヒップシート型の抱っこひもはこの5~6年で認知が広がり、人気が出ていると言います。
「ポルバンアドバンスは、保育士への商品アンケートで95%の方が『育児用品としてママやパパに勧めたい』と答えるほど、高い支持を得ています。国内のママたちの声も集めて企画、生産しており、商品には自信を持っていました」
しかし、商品の認知度が高まる一方、一歩先の「商品価値の認知」については、課題を感じていたそう。「メーカーが話をする相手は主に販売店のバイヤーやスタッフです。直営店は自由が丘に1店舗、ネットショップが2店舗ありますが、もっと多くの育児当事者に、保育のプロが勧める商品価値や、僕らの思いを伝えたいと思っていました」と田畑さん。
そんな折、ラッキー工業が行なった妊婦向けアンケートで、よく見るアプリとしてママリが挙がったことをきっかけに「育児当事者とより近い距離で関わり合いたい」という思いのもと、ラッキー工業×ママリのライブ実施が決定しました。
ネガティブコメントへの懸念以上に、期待していたこと
ママリ担当者との打ち合わせを重ねた結果、ライブは2回に分けて実施することに。その役割は以下のように分かれます。(写真右側が1回目、左側が2回目)
・1回目:ママの抱っこに関する課題を聞きつつ、ポルバンアドバンスの便利さを伝える
・2回目:使用感への声に回答し、不安を解消。購買につなげる
1回目のライブ視聴者の中からポルバンアドバンスを5名にプレゼントし、2回目のライブで使用感に関する声を発表するという構成です。いずれもコメントはリアルタイムで寄せられるため、内容は当日までわかりません。田畑さんは生配信に不安を感じる一方、メリットがそれを上回ると考えていたと語ります。
「ネガティブなコメントがくる可能性は、正直気になりました。しかし、育児当事者の声はどんなものでも価値があるもので、今後の開発の糧になると考えています。
また、育児用品では『口コミを参考に買ったものの、使いにくい』ということも。そんなとき、多種多様な商品を扱う量販店では、個々の商品の使い方まで助言するのは難しいかもしれませんが、生産メーカーである僕らならできると思いまして。小さな疑問や不満をその場で解決できて、見た人が『買いたい』と思えるなら、メリットが大きいと思いました」
ライブでは、田畑さんの提案で、抽選で当たるポルバンアドバンスにおまけをつけたり、2回目の配信後2時間限定で、ECサイトのポルバンアドバンスを2,000円引きにするなどの施策も実施することに。「消費者の方が驚き、喜ぶようなことをしたかった」と田畑さんは振り返ります。
2日間で延べ7,000人が視聴、配信で見つけた課題も
そして打ち合わせを経て、ライブを実施。1回目、2回目ともに約3500名が視聴し、絶え間なくコメントが寄せられるライブとなりました。
「コメントを通したやりとりは、普段の接客に近い感覚でした。また、商品を持っていない方の疑問に対して、利用中の方がコメントで答えたり『子どもの歩き始め時期にいい』など具体的なシーンを添えて発言したりといった交流が生まれたのはうれしく思いましたね。
また『荷物はどれくらい入るか』『夫も使えるサイズか』など、購入前の疑問もたくさん挙がっていました。これはメーカーとしてはなかなか得られない声です。このような声をもっと聞きたい、そしてすぐお返事したい!という思いが高まりました」
商品についてコメントで語り合うほど熱量の高い育児当事者に向き合えたことは「メーカー冥利に尽きる」と田畑さんは言います。
一方で、ライブ配信ならではの課題も見つけたそう。
「店頭での接客なら、商品を触ってもらって説明ができますが、ライブではできません。今後やるならば、触る体験に近いような配信を考えてみたいと思います」
ライブ後の想像を超えた反響、大手バイヤーからの声も
ライブ配信後、田畑さんは多方面から反響を感じていると語ります。
「まずは、ECサイトからの売り上げ。ライブ終了後2時間(2,000円引きの限定時間)で、50本程度の注文がありました」
仮に50本程度の売り上げがすべてライブの視聴者によるものだとすると、視聴者内での購入CVRはおよそ1.42%です。さらに、その後も反響は続いたと田畑さんは振り返ります。
「商品に関する個人の方からのお問い合わせが増え、販売店からも『商品を置きたい』『顧客からポルバンアドバンスが欲しいと言われた』という声を複数いただきました。他にも、お付き合いのある大手販売店のバイヤーもママリのインスタライブを視聴していたそうで、声をかけられました。あらゆる方が見ていると感じましたね。
また、自社のモデル募集や、新商品アンバサダーへの応募が増えたようにも感じます。ライブをきっかけにホームページやSNSを見てくださったのかもしれません」
ライブは、個別商品の認知拡大、購買促進にとどまらず、メーカーとしての認知や、販売店からの発注にもつながったと考えられそうです。
自社でも生配信を開始、新しい販売促進の形ができた
ママリでのライブを通じ、生配信の良さを実感したという田畑さん。ラッキー工業でも「ラッキーTV」という生配信の取り組みを始めたそうです。「身近に感じていただけるよう、やわらかい空気感を意識して作っています」(田畑さん)
一方、ママリを通じたライブならではの良さがあるとも感じていると言います。
「ママリのライブの場は、配信者と視聴者の間で何でも言える関係性ができていると思います。だからこそ、素直なコメントが出てくるのでしょうね。いかにも宣伝という仰々しい雰囲気では、真のニーズや不満は出てこない。和やかな雰囲気はママリの魅力だと思いますよ」
商品の販売促進としてはもちろん、消費者の生の声を聞ける場でもあるママリのインスタライブ。消費者のために実直に抱っこひもの生産を続けるラッキー工業には、つながりを直に感じ取れるライブ配信がぴったりといえるかもしれませんね。
「今後も育児のシーンに『ありそうでないもの』を追求していきたいと考えています。Amazing life with babyを体現するため、育児当事者とつながるライブも活用しながら、引き続き育児に寄り添うメーカーでいたいですね」